「退院支援」お勉強部屋

患者さんの生活視点を大切にしましょう!

主治医力とは?


「全人的医療」

「患者中心の医療」

「総合診療」

「家庭医療」

「Generalist」

 それぞれの言葉の意味ってわかりますか?

その方面の学会のコアな方々にとっては、説明不要な明瞭な言葉なのでしょうが、大半の学会員や非学会員、まして患者さんにとっては、正直何のことかよくわからないと思います。
 
欧米の家庭医療学の中には、「患者中心の医療」についての理論があり学問化されています。そして、その実践方法も教育方法も標準化されています。家庭医療学・患者中心の医療は学問としても実践スキルとしても、極めて有用であること間違いありません。
しかしながら、実際は「勉強熱心でかなりコアな家庭医療専門医」以外には、十分に理解も実践もされていないのが現状と思います。まして、すべての医師が学ぶには敷居が高く、とても面倒で、大変すぎますよね…。
  
「臓器ではなく、人を診る」
 
という表現があります。そういうお医者さんを目指して、研修を積んできたパンダが言うのも変な話ですが、言葉尻だけからだと、やはり、なんだか具体性を欠いていている気がして、雲をつかむような感じもしますね…。
その言わんとしていることは、その筋(すじ)の仲間連中には、説明せずとも容易に通じるので、すぐに分かり合えるのですが…。
 

「私が、あなたの主治医です」

パンダ個人としては、総合診療医、家庭医、GeneralistというIdentityにこだわりすぎずに、臓器別専門医も総合医も関係なく、「責任をもって一人の人間としての患者さんを診る」ということが重要だと考えています。
スーパードクターになって、一人でなんでも診れるということが大切なのではなく、周りの助けを借りながら、しっかりと自分が責任をもって患者にベストを尽くすことが大切だと思います。
つまり、何科が専門だとか、そういうことにはこだわらず「あなたの主治医」であるということをIdentityにしていれば十分だと思うのです。
 
それぞれの得意な専門性や知識・技術はいろいろあってもよいと思います。自分の専門とする領域の診断や治療については、生涯かけて研鑽を続けていくことが必要です。
一方で、総合医にしろ専門医にしろ、知識・技術の研鑽とともに「主治医力を磨く」ということが最も肝要だとパンダは考えています。
 

主治医力とは?

主治医力とは、「医学的視点」と「生活者としての患者視点」の両方を持ちながら、一貫して患者・家族のニードに寄り添った医療を実践する力のことです。
 
患者・家族、医療スタッフ、上司、後輩含めたすべてのチームの一員と良好なコミュニケーションを保ち、良い関係性を作っていくこと。そして、患者の病態、診断、治療という「医学的視点」に加えて「生活者としての患者視点」を常にもつということ。
 この2つを大切にしながら研鑽を積んでいけば、立派な主治医になっていけるとパンダは信じています。
患者さんから頼られてこそ主治医です。
「医学的視点」と「生活者としての患者目線」のどちらもバランスよく研鑽しましょう。